歯・口腔(歯周病、歯髄炎など)


【歯・口腔疾患の現状と細胞治療の可能性】

歯の内部にある歯髄が炎症を起こしている歯髄炎に対しては、一般的に神経を抜き、人工物を中に詰
める治療が行われています。しかし、神経が無くなるため、歯に何らかの異常が生じても気がつきにく
く、再治療になる場合があります。そこで幹細胞を用いた新しい治療法の研究が進められており、神
経を抜いた歯に歯髄由来幹細胞を移植することで、血管や神経を含む歯髄が再生され、歯が折れるこ
とや、歯根の下が腐敗することを防ぎ、歯が健康で長持ちできる可能性があります。

【現在、治療や動物による研究が行われている機関】
◆ 日本大学(骨髄由来)  ◆ 東北大学  ◆ 名古屋大学  ◆ 愛知医科大学
◆ 大阪大学  ◆ 歯科口腔先進医療開発センター(国立長寿医療研究センター内)

【歯科口腔先進医療開発センターの症例】
歯髄炎の治療として、奥歯以外で神経を抜かれていない重度の虫歯があり歯髄を採取可能な不用な歯
(親知らず、矯正治療など)を持つ患者(20~55 歳未満)を対象に、患者本人の歯髄から幹細胞を採取し
て約 6週間培養後、歯髄炎と診断された歯の神経を除去し、そこへ歯髄由来幹細胞を移植して元通りの
歯髄に回復させる臨床研究が行われています。
動物実験では、歯髄由来幹細胞を移植すると血管や神経を含む歯髄が数ヶ月で再生されることが確認
されており、この臨床研究においても、歯髄を回復させることが期待されています。

【大阪大学の研究成果】
ビーグル犬を使用した動物実験で、歯周組織に移植した脂肪組織由来幹細胞から骨(歯槽骨)が再生
されることが確認されています。


※ 幹細胞に関する様々な情報は、ヒト幹細胞情報化推進事業(SKIP:https://www.skip.med.keio.ac.jp/)や

   日本再生医療学会雑誌、各大学や施設の論文及び記事などを参照しております。